2020.2.1
【9】ゼロからMARCHの現実
こんにちは、福岡天神校の村山です。
前回は「ゼロからMARCHを実現するためには学力以外の軸にも注目する必要がある」という話から当塾における合格マインド導入について書きました。今回はそんな彼ら彼女らが目指すMARCHの現実をみていきたいと思います。
一口にMARCHと言いましても大学・学部ごとに難易度は異なります。もっとも入りやすいMARCHの学部は年によって変わりますが、そのうちのひとつである法政大学現代福祉学部福祉コミュニティ学科に注目してMARCHの現実を確認していきたいと思います。難易度の変遷としてはセンター試験利用枠のボーダーライン推移が同一基準でわかりやすいため、そのデータをみていきます。
※センター試験利用枠は一般入試よりも難易度は高めです。
募集定員が10名から7名に減ったことに加え、受験者数が261名増加(46%増)する中で合格者数が32名も減少(36%減)したことで見るも無残な地獄絵図と化してしまいました。ここはMARCHの中でも格が低いとされる法政大学のキャンパスのうち非常に都心からのアクセスが悪い八王子キャンパス、その中でも受験生に圧倒的に不人気な「福祉」系の学部であることから、多くの受験生にギリギリMARCHの筆頭として認識されており、そこに緊急避難的に出願が集まりすぎた結果、ほとんどパニックと言っていい状態になりました。
ここは難化が極端すぎたので、もうひとつ同じ法政大学でも市ヶ谷キャンパスにある人間環境学部のデータも見てみましょう。センター利用枠の科目・配点は英語100・現代文100・社会100で現代福祉学部とまったく同じです。
ここでも同じことが起きています。
前述したように、センター利用枠での合格は一般入試での合格よりも難易度が高いですが、同じデータを比べている以上それはここではあまり関係ありません。大学公式発表の上記2学部のデータを見てわかる通り、2019年からMARCH入試難易度は跳ね上がっています。
もうひとつ、リアルなデータも見ていきましょう。
私は2018年度は吉祥寺校、2019年度は町田校でそれぞれ既卒世界史クラスを担当していましたが、その彼ら彼女らのセンター試験得点率と進学先を見比べても2019年入試に何かしらの異常事態が発生していることがわかります。
2019年度の方がセンター平均得点率は高いにもかかわらず、MARCH以上進学者は2018年度が12名中11名(91.6%)に対し、2019年度は10名中7名(70.0%)に減ってしまいました。センター試験は問題の質が極めて高く実施ノウハウも完成しているため、平均点が大幅に変動するということはあまりありません。ですので、2018年度のクラスよりも2019年度の方が優秀ということはあっても劣っているということはないという中で、結果としては大幅に2019年度が劣ってしまいました。また、繰り上げの多さも気になります。
これらの事実から導き出される結論は、私立大学定員厳格化の影響は「ゼロからMARCH」を目指す層に直撃したということです。私も氷河期世代ですし生まれた年度によって有利不利を受けるということ自体はある程度仕方ないと思いますが、何よりもフェアであるべき大学受験でこのような事態が起きてしまったことは非常に残念です。
このような状況の中、私は少しこれまでとは違うことを考え始めました。現実の変化に対応していくためには、こちら側も常に変化していく必要があります。次回はそのあたりのことを当塾の理念に立ち戻りつつ書いてみたいと思います。