2018.12.2
MARCH文系のセンター利用と一般入試の受験方針はどう決める?【後半】
今回は前回記事の続きになります。
センター利用のメリットをご理解いただいたら、次は出願をどうするかという話になりますが、EDIT STUDYでは直前のセンター試験型演習の結果から最低点と最高点を割り出し、5%刻みで散らして出願する戦略を取っています。
◇大手予備校の出願戦略
ここでは比較対象として大手予備校で行われている進路指導についても書いておきます。一般的に、大手予備校では4月~12月までの4~5回のマーク模試の結果から平均を出して、その平均をベースに前後5%で出願する戦略を勧めています。これは一見妥当な考え方であり、おそらくは学生チューターでも対応できるようなマニュアルがあると推測されます。
ただし、この戦略には少し考えてみるとおかしな点があります。
単純に4月や8月の模試結果は直前期の実力とほとんど関係がありません。特に現役生の社会は夏以降に急上昇しますので、参考にする意味はまったくないでしょう。たとえば、4月の社会で30点、8月で40点、10月で70点、11月で90点だとしたら平均は57.5点ですが、本番では90点以上を取る可能性が濃厚です。しかし、上記マニュアル通りに進路指導をすると、「うーん、模試平均点の前後5%だから54点から61点か。。。」という謎の状況に陥ります。つまり、大手予備校の進路指導は上記のような「成績の急上昇」を想定していないということは知っておいた方がいいでしょう。
◇センター国語の難易度
さて、次はセンター利用を語るうえで非常に重要な国語の話ですが、「国語の解答範囲とは何か」という話をまず説明しておきます。センター国語は現代文100点(評論50点/小説50点)、古文50点、漢文50点の合計200点(試験時間80分)で構成されています。問題量の多さ、時間配分の難しさ、(年度にもよりますが)特に古文の難易度の高さから、東大合格者の平均点でも例年160点前後にとどまっています。東大「合格者」(「受験者」ではなく)は通常全科目トータルの平均が90%程度ですので、その中で国語の平均点だけが80%前後という事実は、センター国語が非常に対策が難しい科目であることを示唆しています。
◇合格するための戦略
ほとんどの東大合格者は幼少期から真面目にコツコツ勉強してきています。いわゆる地頭も違うでしょう。その彼ら彼女らの平均点が8割程度ですから、EDIT STUDYに入塾を検討する「ゼロからの受験生」「MARCH逆転を狙う層」が、80分で現古漢すべてを解いて同様の点数が取れるようになると考えるのは現実的ではありません。とはいえ、センター利用枠でMARCH以上の合格を狙うなら国語はできれば8割、最低でも7割の得点がほしいところです。
そこで、EDIT STUDYでは80分の制限時間をすべて現代文のみに使って確実に7割以上取る訓練をしています。現古漢すべてで8割は難しくても、現代文だけなら7割、頑張れば8割取ることも可能です。特に2010年代は現代文の問題量が大幅に増え、「時間をかけて丁寧に解く」ことのメリットは大きくなっています。また、センター現代文は設問が本質で悪問が少なく、その意味では解きやすいと言えます。十分な時間さえあれば7割を取るのはそれほど難しいことではなく、現に毎年生徒の平均点は75%程度まで上がっています。つまり、仮に大きな実力差があっても、受験のやり方や勉強方法を工夫することで得点率を上げていくことができるのです。
◇センター現代文のみでの出願
そして、現代文のみの解答でも出願可能なMARCHレベルの大学がたくさんあります。EDIT STUDYではこのように「センター現代文のみで出願可能な大学」を、ボーダーラインの低い順に一覧にして生徒に配布しています。今は必要な情報はすべてネットにあると言っても過言ではない状況で、その中で重要なことは「私大文系に特化した形で、いかに分かりやすく生徒に届けるか」ということです。ちなみに、センター現代文のみで出願する生徒は、古文漢文は一切解答せず、その部分のマークシートは空白のまま提出します。
◇「生徒にとって何が一番いいか」という視点
このデータは「生徒にとって何が一番いいか」という視点から生まれました。勉強ができる方々は、つい自分を基準に考えてしまいがちです。「センター国語は全部解くものだ」「自分もそうやってきた」「やればできる」、このようなアドバイスは親身で真剣かもしれませんが、生徒のことを第一には考えていません。現実を見据え、生徒の合格可能性を少しでも上げるために、センター国語の解答範囲はしっかり考えて確定させる必要があります。
◇一般受験校の出願はセンター試験後
さて、一般にセンター利用枠の出願締め切りはセンター試験直前の金曜日(1月中旬)で、私大一般入試の出願締め切りは1月下旬と、1週間から2週間ほどのタイムラグがあります。このくらいの時間差なら同時に出願してしまえということで、センター利用枠と一般入試の出願を同時に行おうとする受験生が多いようですが、センター試験前に私大一般入試を済ませてしまうメリットはありません。厳密にいうと、「センター利用枠と一般入試の同時出願で1万円割引」のような特典は一応ありますが、センター試験の結果次第ではそもそも受験する必要がなくなるところも出てきますので、やはり同時出願のメリットはないと言えます。
例えば、明治大学を第一志望(学部は法学部志向)とし、法政大学と成蹊大学を第二志望群、滑り止めとして成城大学と専修大学を検討している受験生がいるとします。
〇センター利用枠を使わない場合
明治大学(法学部・経営学部・商学部)3.5万円×3=10.5万円
法政大学(法学部・経営学部)3.5万円×2=7万円
成蹊大学(法学部・経済学部)3.5万円×2=7万円
成城大学(法学部)3.5万円
専修大学(法学部)3.5万円
合計受験回数 9回
合計費用315,000円
〇センター利用枠を使う場合
センター法政(法学部)1.5万円
センター成蹊(法学部)1.5万円
センター成城(法学部)1.5万円
センター専修(法学部)1.5万円
※センター試験で法政大学に合格したと仮定
明治(法学部・経営学部・商学部)3.5万円×3=10.5万円
合計受験回数4回
合計費用165,000円
上記は理想的に進行した場合ではありますが、センター試験を上手に利用することで受験の手間・費用ともに半減できる可能性があります。
◇まとめ
MARCH文系のセンター利用と一般入試の受験方針としては、センター利用で滑り止めを確定させたうえで、一般入試では志望度の高い大学・学部を受験するという形が望ましいでしょう。
以上、参考になれば幸いです。