2017.3.16
2浪が語る本当に「浪人はダメ」なのか?【前編】
村山先生⇒2浪から東京大学
小路永先生⇒2浪から早稲田大学
小路永)少しずつセンター利用の結果が出始めましたが、今年度の入試は更に厳しくなった感じがしますね。
村山)そうだねえ、今年の結果は渋いねえ。
塾生一人ひとりの学力という個別要因もあるけど、全体的な外部要因として以下表のように「私学助成不交付基準を厳格化したこと」が大きいと思う。
小路永)簡単に言うと、国が定めた定員の基準値より入学者数を多く取ったら「国からの助成金がゼロになる」というルールですね。その定員の基準値が8,000人以上の大規模大学だと前年の1.2倍以上から1.17倍に下がったため全体的に合格者数を減らして、入学者数を基準値以上にならないよう調整するというイメージです。
村山)早慶上智に加えて、いわゆるMARCHと総称される大学群はその全てが「大規模」と定義される収容定員8000人以上の大学なんだよね。早稲田(約35000人)、慶應(約25000人)、上智(約10000人)、学習院(約7500人)、明治(約25000人)、青学(約15000人)、立教(約15000人)中央(約20000人)、法政(約25000人)という感じ。
小路永)早稲田がマンモス大学なのはよく知られていますが、こうして列挙してみると他の大学もかなりの生徒数ですね!
村山)そうそう。
これだけの規模の入試合格者を最初からピッタリ割り出すのは難しいから、おそらく各大学は補欠合格者数を増やして、入学金や前期授業料が振り込まれなかった場合に繰り上げ合格を出すという方向で大学は調整しているのだと思う。今年は例年より補欠合格の報告をよく耳にする気がする。
小路永)上記の表のように2017年度、2018年度と基準値は下がるので、志願者数の多い大学では今後実質倍率が上がり、それに伴って難易度も年々上がることになります。
GMARCHの下にあると言われている成成獨國武(成蹊・成城・獨協・國學院・武蔵)もセンター利用のボーダーは85%以上にまで上がり、國學院に関しては90%以上の生徒も繰り上げ合格候補となっているケースも見られます。
村山)国が何のために「私学助成不交付基準を厳格化しているか」はここでは関係ないので置いておくけど、そもそも倍率の高いMARCH以上の入試難易度が上がるのは確実だね。個人的に結構面白い流れだなと思うのが、MARCHの難易度が上がることで、この10年くらいで急速に進行してきた「現役進学時代」に逆行して「諦めきれない浪人生の数」も増えていく可能性があるところだよね。
小路永)そうですね。
MARCHの壁が厚くなることで改めてクローズアップされてくることになりますが、そもそも浪人を選択することには大きなメリットもあります。
村山)さすが、わかってるね。
そう、浪人の最大のメリットは真の意味で「逆転合格」ができるということ。適切な勉強法、勉強量を重ねれば浪人生活10ヶ月でMARCH以上に合格することはそれほど難しくない。そしてそのメリットは君自身が浪人生活を通して非常に分かりやすく体現している。
小路永)たしかにそうですね。
読んでる人が分かるように簡単に経歴を紹介すると、僕は当時MARCHに一般入試で合格する人が5人ぐらいしかいない偏差値50の都立高校を卒業し、1浪目に準大手予備校で勉強するもMARCH全落ち。2浪目はこのEDIT STUDYに入塾し早稲田大学商学部に合格。この時点で学歴的には大逆転。そして早稲田から日本で3番目に生涯年収が高いキーエンスという会社に新卒で入社しました。
村山)サラリーマン生涯年収の平均が約2.2億円に対してキーエンスは約7.3億円で、その差は実に5.1億円。凄まじい生涯年収差だよね。
小路永)生涯キーエンスにいるかどうかは別にしても、年収はとても高いですよね。もし早稲田大学に進学していなければ、僕がキーエンスに入社できる可能性はほぼなかった気がします。
村山)でもキーエンスって採用試験に学歴は関係ないんじゃないの?
小路永)学歴フィルターはないので、一切関係ないです。ただ営業職の関東採用同期が11名いたのですが、早稲田3名、慶應2名、上智1名、理科大1名、明治2名、立教2名、全員MARCH以上でした。国公立を意図的に排除しているわけではありません。
村山)営業職と国公立学生の相性はあまり良くない気がするな。
さておき、キーエンスをはじめとして採用基準に学歴不問と書いてあるところは多いよね。でも結果的にMARCH以上の学生ばかりが集まることが多い。この現実を前にして果たして学歴は関係ないと言い切れるか否か。
昔ブログに書いたんだけど、もしキーエンスに入社できたのが早稲田合格のおかげで、生涯キーエンスにいたと仮定すると、浪人時代10ヶ月の勉強量(約1500時間)をアルバイト風に時給換算すると約33万円になる。
*計算式:生涯年収差5億÷1500時間=33.3万円
月給でも日給でもなく、時給が33万円だよ?
小路永)世の中お金だけじゃないと思いますが、受験生の勉強時間ってそれだけの価値がある可能性があるということですね。そういった意味で大逆転の人生をかけて浪人することに価値はあると思います。
村山)まあそのブログのタイトルは「プライスレス」だからな。
別に学歴至上主義ではないけど、行く大学によって出会う人、付き合う人間の幅も変わる可能性があるのは経験上否定できない。受験勉強って分かりやすくて、頑張れば結果を伴うから必然的に上位大学には頑張れる人間の比率が高い。
小路永)その結果が、採用に学歴が関係ないキーエンスの同期がすべてMARCH以上だったということに集約される気がします。
村山)浪人を選択し、MARCH以上に逆転合格すると「出会う人、付き合う人間」「生涯年収」においてメリットがあるということだね。
大学毎の平均年収は下記の通り(私大のみ抜粋)
小路永)そうですね。
ただ一方で、浪人を選択してもまったく勉強せず、成績も微動だにせず、むしろ現役時よりも落ち、翌年も同じ大学に不合格になる浪人生が無数に存在していることを考慮すると、逆転合格できないリスクもそれなりに大きいです。