世の中には「勉強の仕方」についてアレコレ言っている方が多くいます。
「勉強の仕方を教える塾」なんてものもあります。もちろん『「超」勉強法』には目を通しました。ベストセラーには一応手を出しておくのが主義なので次は『バカの壁』です。さすがに『世界の中心で~』には手が届きませんでした。
話を戻しまして、「勉強の仕方」と言われるもののほとんどは、自己管理を含めた精神論に終始しています。ヒドいものは「朝は納豆を食べて頭を受験モードに切り替えろ」などと恐ろしく無茶なことを言っています。「タイムスケジュールを作ってキッチリ自分を管理する」方法は常套手段として書かれていますが、こんなものは理想であって、極一部の人しか実践できません。人間はそのようにできていないからです。
一般に学生が勉強するときは何かのテストのために勉強します。当たり前のことを当たり前にやれば、テストは解ける仕組みになっています。
問題は何か
私がいま、何かのテストを受けなければならない状況にあったとして、まず最初にすることは過去問の入手です。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とはよく言いますが、これからどのようなテストを受けるのかも分からずに勉強することはできません。
次に、過去問の使い方ですが「とりあえず一通り解く」というところまでは誰もがやります。ここからが差のつくところです。過去問はあくまで過去問であって、普通はまったく同じ問題は出題されません。大切なのは「何が問われているのか」をじっくり考えることです。ここでちゃんと考えているでしょうか。「傾向と対策」を読むのも悪くはありませんが、自分自身で「何が問われているのか」を考えながら勉強した方がはるかに学習効果が高いのは言うまでもありません。
暗記は反復
普通のテストは「何かを暗記していること」を前提としています。勉強と暗記は切っても切り離せない関係です。そのわりに、暗記はなぜか「悪者」「裏技」のイメージで語られます。瞬間記憶のような離れ業もやたらと注目されています。もっと一般論で話しましょう。
暗記は反復が基本です。普通の人間は物事を忘れるようにできています。一回やっただけで覚える人は天才です。二回で覚える人は優秀です。三回やって忘れる人はめったにいません。それなら三回やればいいだけでしょう。というわけで、赤ペン先生と赤下敷き師匠はマストアイテムです。
次に、暗記にはコジツケも重要な役割を果たします。歴史の年代ゴロ合わせなどはその好例でしょう。このコジツケは裏技と思われていますが、要は覚えれば何でもいいのです。裏も表もありません。
最後に、細かいことですが、口に出すということも効果的です。私などは勉強する際、いつもブツブツ言いながら勉強しています。その昔、大学の友人たちと喫茶店で一緒にテスト勉強をしたことがありましたが、みんながみんなブツブツ言っているので笑いました。「五感を使え」などと理屈をコネている人もいますが、本当はなんとなく口に出して勉強していたらよく覚えた、が正解でしょう。
例:倫理
古代ギリシアでは物事の根源をアルケーと言います。それとは別に、徳のことをアレテーと言います。一見して混同しそうな単語ですが、私は塾生にこう言っています。
広島の人が言いました。『根源がアルケーのぅ』。
紛らわしいのは一個覚えとけば、もう一個は覚えなくても分かる。
十回は口に出して覚えましょう。
塾生「根源がアルケーのぅ、根源がアルケーのぅ、根源があるけぇのぅ…」
反復・コジツケ・ブツブツがきれいにハマりました。
これで忘れません。
勉強は集中
最後は本当に当たり前のことを言わせてください。勉強は集中です。音楽を聴きながら勉強する人がいます。ひどい人はテレビをつけたまま勉強しています。これは巷でも言われています*が、完全に論外です。絶対にやってはいけません。
勉強は無音で、鬼の形相でやるべきです。
鬼は言い過ぎましたが、なんにせよ無音で集中してやることが大切です。これは個人差がありません。「俺は音楽聴きながらの方が集中できる」。よく聞く言葉ですが、そんなことはありえないのです。とにかく無音が理想的です。その代わり、無音で集中するとやたらと疲れます。慣れないうちは一日2時間くらいしか勉強できないかもしれません。しかし、それこそが頭を使っている証拠なのです。筋トレと同じように、徐々にレベルを上げていって、頭を鍛えてください。
小道具として、私自身も受験生時代に使っていたイアーウィスパーというものがあります。興味のある方は使ってみてください。
以上、精神論ではなく、実際に勉強するときに気を付けることを挙げてみました。最低限これだけは守って、あとは各人で工夫しながら勉強してみてください。
*掲示板でご指摘を頂いたところによれば、音楽を聴きながらの方が学習効果が高いという理論もあるようです。科学、特に歴史のない科学に反論するのは簡単ですが、意味がないのでやめておきます。音楽を聴きながらやりたいという方はそうするとよいと思います。