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センター試験分析
センター倫理は社会6科目(日本史・世界史・地理・政治経済・現代社会・倫理)の中で最も覚えることが少ない科目です。最も多いと思われる世界史と比べれば十分の一くらいかもしれません。
その代わり、「考える」問題が多いとよく言われます。巷ではこの「考える」という言葉の不透明さを利用してセンター倫理だけを対象とした「考え方」なる講義が夜な夜な行われているようですが、そのあたりは後ほど詳述します。また、その「考える」問題が多いため、倫理は高得点が取れないと考えている方も多いようです。本当でしょうか?実際に調べてみましょう。
それでは、以下は2003年度センター倫理の分析です。
問題内容 | 配点 | |
---|---|---|
第一問 | 源流思想 | 23点 |
第二問 | 近代西洋思想 | 25点 |
第三問 | 日本思想(古代・中世) | 24点 |
第四問 | 現代社会問題 | 28点 |
センター倫理は毎年大問4問から成ります。その内訳は例年大きな変動はなく、全範囲からまんべんなく出題されています。そんなことより気になるのは、いわゆる「考える」問題がどれくらいの比率で出題されているかという点でしょう。この点を明らかにするには、もう少し詳細に分析してみる必要があります。
詳細分析
それでは2003年度センター倫理をもう少し詳細に見ていきます。
考えればなんとか分かる問題を「考える」問題と定義します。
※スペースの都合で問題本文は割愛します。
小問 | 問われている内容 | 小問 | 問われている内容 |
---|---|---|---|
1 | アリストテレスの思想 | 20 | 「考える」問題 |
2 | 大乗仏教の完成者 | 21 | 柳田国男「常民」の霊魂観 |
3 | 諸子百家の思想 | 22 | 法華経の「仏」の定義 |
4 | 朱子学の説明 | 23 | 「考える」問題 |
5 | 中庸の具体例 | 24 | 法然(浄土宗)の思想 |
6 | トマス・アクィナスの思想 | 25 | 聖「空也」について |
7 | 仏教「四諦」について | 26 | 密教の利他実践 |
8 | 「考える」問題 | 27 | 「考える」問題 |
9 | イスラム教発展の歴史 | 28 | 「考える」問題 |
10 | 啓蒙主義の代表的人物 | 29 | 「考える」問題 |
11 | イスラム教徒の生活 | 30 | ウェーバーの思想 |
12 | ピコ・デラ・ミランドラの思想 | 31 | フロムの思想 |
13 | ヘーゲルの思想 | 32 | リースマンの思想 |
14 | J.S.ミルの思想 | 33 | 「考える」問題 |
15 | レヴィ・ストロースの思想 | 34 | 「考える」問題 |
16 | 「考える」問題 | 35 | ライフサイクルについて |
17 | カントの思想 | 36 | 「考える」問題 |
18 | 「考える」問題 | 37 | 「考える」問題 |
19 | 「考える」問題 | 38 | 防衛機制「反動形成」 |
たしかに結構ありました。
問題数にして13問、配点で38点もあります。
実に4割近くが「考える」問題なんですね。
さて、これをピンチととるか、チャンスととるか。
結論から言うと、これは明らかなチャンスです。何もしなくても4割は取れるのですから、みなさんのセンター倫理は40点をもらった状態からスタートします。他の科目ではこうはいきません。
と言っても、とても納得してもらえそうにないので、以下ではさらに詳細に「考える」問題を考察してみました。参考になれば幸いです。
センター倫理における「考える」問題とは何かについての実践的考察(アカデミック風)
「考える」問題の解き方
以上で見たように、「考える」問題は2パターンに分類されます。
-
1.文章読解力パターン
- 文章を読んで、その意味するところを読み取る。かなり簡単な現代文といったところ。「この文章って結局何が言いたいんだっけ?」と考えてみましょう。
-
2.「世間の」常識パターン
- 倫理を教えて40年。公私にわたる生真面目な性格が評価され、学校では教頭まで出世し、モットーは「教育は力なり」。自他ともに認めるカタブツおじさんがいるとします。そのおじさんの常識が「世間の」常識です。いったん自分の常識は捨てて、そのおじさんの気持ちになって問題文を見てみましょう。すると、「おいおい、そりゃないだろ」という選択肢がけっこうあります。あとはテレビのコメンテーターが言いそうなことが正解という傾向があります。
この2パターンを駆使すれば「考える」問題は解けます。倫理は他の問題でも多少考えないといけない面はありますが、なんだかんだで正確な知識があれば解けるのでそんなに心配することはないでしょう。それではその知識作りに向けて勉強しましょう。
テキスト選び
倫理はマイナー科目ですが、参考書・問題集の類はそこそこ出版されています。それでは何を基準にテキストを選ぶかと言いますと、実は問題集の方は「これは絶対!」と言える至高の逸品がありますので、それに対応したテキストが望ましいです。
もうひとつ、暗記に関しては実際に書くことと反復することが王道なので、その条件を満たすテキストを探しました。倫理の「実況中継」シリーズは使えません。「倫理ノート」がベストだったのですが、2006年に絶版になってしまいました。代替テキストとして「現代の倫理ノート」を挙げておきます。
至高の問題集
センター社会においては絶大な人気を誇り、その有用性を誰もが認める問題集がこの「センター試験への道」シリーズです。過去のセンター試験を単元別に再構築し、体系的な知識・よく問われる知識を学ぶのに最適です。大学受験(センター)の社会に関してはこれ以上の問題集は望めないでしょう。
と、いかにも私が発見したかのように語りましたが、進学校では常識です。進学校でなくとも、知っている人は知っています。念のためということで、ここはひとつ寛容な心で見守ってください。
ついでに言っておきますと、この問題集はセンター社会6科目全てで出版されていて、もちろん全てマストアイテムです。知らなかった人はすぐに買いましょう。
ズバリ勉強法
さて、テキストと問題集選びにはベストを尽くしました。あとは使い方です。
step | 勉強方法 |
---|---|
1 | 倫理ノートに一単元ずつ答えを書き込む。 |
2 | 「センター試験への道」の対応する単元の問題を解く。 その際、重要なことは 「常識で考える消去法」 「不正解の選択肢についても説明する」 「問題集に答えを書き込まない」(コピーして使う、または2冊目を買う) |
3 | 1~2を繰り返して全単元を終わらせたら、今度は必殺「赤下敷き」で 倫理ノートを復習します。 実際に書いてもいいし、頭の中で思い出すだけでもいいです。 |
4 | 正答率100%になるまで「センター試験への道」を解き続ける。 |
5 | 3~4も単元毎に繰り返す。 |
これを真面目にやれば約1週間で倫理8割は楽勝です。簡単ですね。
ちなみに、これと現代文だけで東洋大学は行けます。
反復について
ここは追加で書いています。メールや掲示板で「そんなに簡単に覚えられない」という御意見を頂いたので、少し反復というものについて書いておこうと思ったのです。
まず、倫理に限らず、大学受験勉強は壮大な丸暗記と思っていただいて構いません。すると、問題は「何を暗記するか」「どのように暗記するか」という2点に絞られます。「何を暗記するか」については、極力HP上で提示したいと思います。
もうひとつ「どのように暗記するか」について、巷では反復(+理解)だと言われています。これは正しい見解で、当塾も実践演習を通じてパターン反復を徹底します。ただし、この反復にはひとつだけ重大な注意点があります。それは「自分がいま何を覚えているのか」を常に意識しないといけないことです。
例えば、「デカルトは『方法叙説』を書いた」という一節があったとします。みなさんはノートに「方法序説」と繰り返し書くことでしょう。しかし、それだけでは「方法叙説」という漢字は書けても問題は解けません。ここの意味は分かるでしょうか?重要なのは「デカルトが書いたのは何か」と常に自問しながら「方法叙説」と書くことなのです。
少し分かりにくいかもしれませんが、要するに、反復とは自問自答を伴わなければまるで意味がありません。これは非常に重要なことです。大学受験における成績の上下とは、極言すればこの自問自答という内的作業にかかっています。そのわりにこんな片隅に書くあたり、私も親切なのか不親切なのか分かりませんが、全部読んでくれている方へのプレゼントということで。
これは勉強ができる人は極めて当たり前にやっていることです。当たり前すぎて書くのを忘れていたくらいです。どの科目の勉強をするときも、「自分はいま何を覚えているのか」「この知識は何に使うのか」「どのような問題が予想されるか」などと自問してみてください。これは能力というより習慣です。志望校に合格したいなら必ず身に付けましょう。ちなみに、この作業は慣れるまでが大変なのは言うまでもないことですが、慣れてからも大変です。
最終確認
「夏休みを犠牲にして世界史を覚えたのに、倫理だけがこんなに簡単でいいのか!」という叫びが聞こえてきそうですが、結論から言うと
いいんです。
苦労をすればいいというわけではありません。
というわけで、それでもまだ心配な人は私のお気に入り「黒本」でもやってみてください。問題の難易度に多少左右されると思いますが、8~9割はコンスタントに取れます。
ここまでやれば倫理は完璧です。あとは本番も油断せず、しっかり考えて解きましょう。どうしても満点レベルまで狙いたいという方は『倫理一問一答(山川出版)』まで手を伸ばしてもいいですが、よほどのことがないかぎりお薦めはいたしません。
まだ半信半疑といったところでしょうが、私は嘘はつきません。
次は地学です。
※最終確認用資料 | ||
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