2020.1.31
【7】「ゼロからMARCH」について
こんにちは、福岡天神校の村山です。
少し間が空いてしまいましたが、前々回で「MARCHの厳しさ」について、前回で「ゼロから」の厳しさについてみてきました。あらためて確認しておきますと、MARCH以上に進学する方は世代の上位15%前後に入っている層であり、ゼロから大学受験を始めるという方は中学段階の知識が全科目に渡って致命的に欠けている状態であるということでした。
そして今回のテーマは「ゼロからMARCH」です。
「そんなの1年本気出せば余裕でしょ!」という意見もあるとは思いますし、実際に〇ヶ月でMARCH合格、どころか早慶合格といった体験談を載せているサイトはたくさんあります。そのようなサイトを運営されている方も実際に低偏差値から〇ヶ月でMARCH以上合格を成し遂げていることが多く、その意味で説得力もあるのですが、私が15年間「ゼロから」の層を指導してきて思うこととは少しズレがあります。
まず、「そんなの1年本気出せば余裕でしょ!」という見解について、その根拠をみていきます。私立文系の受験勉強はほとんどの大学・学部で英語・国語・社会の3科目で事足ります。このうち、簡単にカウントしても英単語、英熟語、英語文法問題、漢字、古文単語、古文常識、古文文法問題、社会に関しては覚えているだけで得点になります。極端な言い方をすれば、まったく頭を使わなくても手元にスマホやPCがあれば全部答えられるものです。そして私立文系の入試問題の少なく見積もっても70%前後はこの手の覚えているだけで得点になるタイプの出題で、それでいて合格最低点はほとんどの大学で70%を切っています。
ということは、例えば、あるMARCHの入試がPC持ち込み可・時間無制限という条件だったらどうでしょうか?誰でも受かる気がしませんか?これが「そんなの1年本気出せば余裕でしょ!」という見解の根拠ということになります。覚えるべきものを全部覚えていけば勝てますよ、と。これは理屈の上では正しいと思います。
では、実際にある一人の学力ゼロの生徒がPC持ち込み可・時間無制限で受験できたとして、その生徒は合格するのでしょうか。
多くの方はそりゃ普通に合格でしょ、と思うかもしれませんが、現実的には受かる人もいれば落ちる人もいるという状況になるでしょう。なぜかと言いますと、調べ方が下手とか基礎知識に抜けがあって大変とか色々あるとは思いますが、端的に言えば「途中であきらめるから」です。周りから見ているともう少しだけ頑張れば合格できる状況でも最後に精魂尽きてしまうという印象です。これが私が15年間で感じた違和感の正体です。なので、このやり方で受かる人は1年本気出せば実際に合格すると予想されますし、このやり方でも落ちる人は1年本気出しても不合格になるのだと思います。
話を戻してまとめますと、
「ゼロからMARCHは1年本気出して勉強すれば可能というのは理屈上は正しいが、実際はそう上手くはいかない。なぜなら途中であきらめるから。」ということになります。結局全部を生徒のせいにしてなんてひどいやつだと思われるかもしれませんが、この話にはもう少し続きがあります。