浪人生コラム⑤-私立大学の2021年以降の入試環境予測-

皆さんこんにちは、浪人生コラムを担当している初田です。

 

前回のコラムでは2019年度入試を振り返って、全体としては2018年と同様の受験環境であったものの、一般入試にフォーカスを当てると2018年以上の激戦となった年であったことをお伝えしました。

 

今回のコラムでは、では今高校3年生の現役生の方や、浪人されている方にいよいよ2021年新入試がどのようになるのか、できるだけ事実に即して考えていきたいと思います。

 

〇数字で見る浪人生⑤

現役生、浪人生にとっての2021年新入試と2022年以降について考える

 

国の政策から考える

まず、国の政策から2020年度入試がどのような影響を受けるのか考えてみましょう。

前回のコラムでも触れた通り、国はもともと「平成31年度から、入学定員充足率が1.0倍を超える入学者がいる場合、超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置を導入する」としていました。しかしながら、2016年からの比較において「三大都市圏における入学定員超過や三大都市圏以外の地域における入学定員未充足の改善」が見られたため、今後3年間実施しないとする通知を発表しました。

平成31年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について (通知)

これはつまり2019年度、2020年度、2021年度入試においては国からの私立大学への定員削減圧力が無くなったことを意味します。そのため、私立大学が2020年度入試において定員を削減する動機はなく、むしろ厳格化しすぎて計画していた入学者を確保できなかった学部やあまりに合格最低点が高騰し受験者減が予想される学部については合格者を増やし定員を確保しようとする可能性があります。

前年度が著しく難化したため、国の政策による影響がないことそのものが現役生・浪人生にとって追い風となります。

 

大学の動向から考える

次に国の政策を踏まえ大学の動向を考えていきます。

前回のコラムでも述べましたが、大学は2016年の定員減化政策が実施された翌年から推薦枠を増加させてきました。これは確実に入学してくれる学生を早期に確保しておき定員管理を正確に行うことで補助金の不交付を避けたい大学としては理解できるものであります。

(出典:私立大学・短期大学等入学志願動向以下同様)

 また、定員厳格化政策が終了したはずの2019年度でも推薦枠の拡充が行われていますが、これは元々2019年以降についても「入学定員充足率が1.0倍を超える入学者がいる場合、超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置を導入する」との国から通知があり管理の厳格化が必要であったこと、またこの措置の延期が20189月に発表され、充足率に対する補助金の減額を前提にした推薦枠の変更を大学が行えなかったことが原因であったと考えられます。

2020年度入試においてはこのような国からの定員厳格化政策による入学定員の削減を行う必要はありませんから、私立大学全体が定員管理のために推薦枠を増加させるインセンティブはありません。そのため、各大学ごとに必要に応じた枠の割り振りとなることが予想され、2020年度においては一律の推薦枠拡大は考え難く、全体としては平年のような増加は見られなくなるのではないでしょうか

 現役生・浪人生の視点から考える

最後に受験生である現役生・浪人生の視点から考えてみます。

まずは志願者倍率の増加についてです。実は私立大学における志願者倍率は2006年度の6.67倍を底にして2015年度まで微増していました。2006年度が6.67倍で2015年度が7.58倍ですから、9年間での増加は0.91ポイントになります。それが2016年から2019年度のわずか3年間で1.3ポイントの増加ですから、いかに受験生が出願先の範囲を広げ滑り止め確保の対応を行ってきたかが分かります。

 

2020年度入試における志願者倍率について考える場合は現役生の視点が最も役に立ちます。現役生は浪人生とは異なり1浪する選択肢が残っているわけですから、現役生が浪人を選びたくなくなる=安定志向になる要因が増せば増すほど出願数も増え志願者倍率も増加しやすくなります。

そして2020年度の予測の要素として着目したいのが共通テストの導入と2019年度の受験生の受験結果です。

2021年度より現行のセンター試験から新たに共通テストが導入されます。つまり現在の現役生が浪人すると共通テスト受験第一号受験者となるわけですから「今までの目安」が存在しません。このような環境の中では浪人をするというのは従来以上のリスクに感じられますから現役受験生を極めて現役思考にさせる要因となります。

また2019年度の受験生の結果も重要です。実は大学を受験する現役生は定員厳格化政策をあまり深く考えていません。定員厳格化政策が実施された2016年度は2015年度と比較して志願者倍率は0.18ポイントの上昇でしたが(2015年度:7.58/2016年度7.76倍)、が2017年度においては志願者倍率が8.13倍と0.37ポイントと急増しました。補助金が不交付となる充足率は2016年度、2017年度共に0.03ポイントずつの削減となっていましたから、この志願者倍率の急上昇は定員厳格化政策そのものよりも、定員厳格化政策によって不合格をもらった2017年度の受験結果(一個上の先輩の受験結果)を見て不安になった現役生が増え、志願先を増やした結果だと考えることができます。

つまり、2020年度入試においては今まで以上に厳しい結果となった先輩たちを見た現役生が2019年度に比べさらに多くの出願先を検討し志願者倍率を上げる可能性が高いと考えられます。

 

まとめ

以上の国、大学、現役/浪人生の動向・予測を踏まえると2020年度の入試は前年並み~やや難化と考えることができます。以下は2016年からの受験環境をまとめた図になります。

(難化=志願倍率の増加/()の項目は予測)

2020年度入試においては定員厳格化政策が保留され大学として定員を大きく削減する動機がなくなる一方、センター試験最後の年であることに加え、2019年度の先輩たちの入試結果を目の当たりにした受験生たちが現役志向熱を高め志願先を増やすことが予想されます。この現役志向の程度によって受験環境としては前年並みからやや難化の水準になるのではないでしょうか。

私立大学の推薦枠が引き続き拡充されれば難化となる可能性もありますが、推薦枠の制限の都合もあり急激に増やすことは難しく、2018年度から2019年度にかけて起こったような難化はさすがになくなると思われます。

浪人生コラム⑥-2021年以降に浪人すべきか否か-につづく

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