2020.3.21
【15】福岡大学の入試分析part1
こんにちは。
EDIT STUDY福岡天神校の村山です。福岡天神校の新規開校準備で少し間が空いてしまいましたが、前回に引き続き福岡の私立大学事情について書いていきたいと思います。(ちなみに新規開校準備は完了しました!)
前回までの話を簡単に振り返っておくと、福岡県は人口に比例した私立大学定員がある唯一の「地方」で、主な私立大学として西南学院大学(8,176名在籍)、福岡大学(19,611名在籍)、九州産業大学(10,552名在籍)、久留米大学(6,809名在籍)があります。偏差値的には西南学院大学が一歩リードしていますが、地元でのネームバリュー、OBの数、就職事情などを考慮すると、西南大学と合わせて福岡大学も福岡の私立文系の中心と言えるでしょう。今回はその福岡大学の入試分析から入りたいと思います。
◇ 福岡大学の入試
最近は入試形跡が多様化し、東洋大学のように捕捉不能なほどに細分化した入試を行う私立大学も増えていますが、福岡大学は比較的シンプルな形式を維持しており、大きく以下の3つの形式で受験できます。比較的シンプルとはいえ、細部を確認していくとなかなか凝っています。
【1】センター利用入試
【2】系統別入試
【3】一般入試
【1】センター利用入試
毎年1月第3週の土日で実施されるセンター試験(2021年度からは共通テストに名称変更)の点数を利用して合否を判定する入試です。もともと(2000年頃より以前)は国立大学を受験する層の一次試験として実施されていましたが、順次私立大学でも取り入れる大学が増えていき、今ではほとんどの私立大学でセンター利用入試を実施しています。福岡大学のセンター利用入試はさらに3パターンに分かれます。それぞれ見ていきましょう。
1-1. センター利用入試(I期)
福岡大学文系のセンター利用入試(I期)は学部によって多少異なりますが、基本的には英語(リスニングを課す)・国語(古文・漢文含む)・世界史or日本史の私立文系基本3科目に加えて、さらにもう1科目が必要な4科目型で実施されています。追加1科目の公民選択は不可で数学or理科から選ばざるを得ず、実質的に私立文系の受験生にとっては選択肢に入りません。九州大学の滑り止めとしては偏差値に開きがありすぎるため、その他の国公立大学を目指す層の滑り止め、あるいは高校の先生のプレッシャーで無理やり国立志望にさせられた生徒層の逃げ道という位置付けでしょう。
1-2. センター利用入試(II期)
こちらは英語・国語に加えてもう1科目の一般的な私立文系3科目で出願できますが、センター試験(共通テスト)の国語を古文・漢文まで解くのは少々リスクがあり、よほど福大をメインに狙いにいく層以外はあえて出願するメリットはなさそうです。ただ、福大をメインで狙いにいく層で古文・漢文までしっかり勉強できている受験生は相当少ないと思われます。後出しが可能なので、結果的にたまたま良い点が取れた場合に出願するという考え方でOKでしょう。
1-3. センタープラス型入試
センター試験の点数と個別試験の成績を合わせて判定するセンタープラス型があり、こちらも私立文系3科目で受験可能ですが、福岡大学個別試験の難易度を考慮するとわざわざ狙いに行く必要性はあまり感じられません。そのわりに受験者数は多いのには少し複雑な理由があります。この方式は一般入試前期日程のオプションとしてしか出願できないのですが、その条件が狡猾というか絶妙なのです。
①「一般入試前期日程における指定科目の点数」と「大学入試センター試験(共通テスト)における指定科目の点数」を合計した総合点で選考
② 一般入試前期日程で、同一学科を2回受験した場合、「一般入試前期日程における指定科目の点数」は試験日を問わず各科目の得点が高い方を合否判定に使用
③ 入学検定料が1学科10,000円
ひとつずつ説明します。
まず①ですが、これは一般的なセンター併用型入試の条件で、よくあるものです。福大のセンタープラス型入試のポイントは②です。福岡大学は一般入試前期日程が1学科につき2回実施されます。そこで英語・国語・社会を受験するのですが、例えば1回目の受験で英語30点, 国語75点, 社会50点(合計155点)、2回目の受験では英語60点, 国語40点, 社会55点(合計155点)で、どちらも不合格だったとします。大学受験で偏差値50前後の学力というのは非常に不安定で、これくらいの波は普通にあります。で、受験生の心境としては「いやあ、1回目の国語と2回目の英語を組み合わせて使えたらいいんだけどなあ!」となるわけですが、その願いをかなえてくれるシステムがこの福大センタープラス型入試なのです。出願学部次第では400点中社会を200点分使えるところもあり、日本史・世界史に圧倒的な強さを持つEDIT STUDYの生徒にとってもチャンスが広がる入試だと思います。そのうえで、前期入試や系統別入試の検定料が1学科32,000円であるのに対してセンタープラス型入試は1学科10,000円ですので、合格可能性を最大化させておきたいと考える受験生とその親御様にとっては「出願せざるを得ない」方式ということができそうです。
率直に、すごいシステムです。
少し長くなりましたので、系統別入試と一般入試については次回書きたいと思います。