2020.2.6
【10】「ゼロからMARCH」の意義を問い直す
こんにちは、福岡天神校の村山です。
前回までの話をまとめておきますと、まず「ゼロからMARCHを目指すには学力以外の軸も考える必要がある」と論じた後に、「2019年度のMARCH入試は信じられないほど難化した」という事実を確認してきました。
具体的には、2018年度まではセンター試験英国社3科目平均80%強あればどこかMARCHに引っかかるという状況が続いていましたが、2019年度は85%前後あってもMARCHのどこにも合格できないという状況に急激に変化しました。「たかが5%くらい、もう少し勉強すればいいだけでしょ」という意見もありそうですが、ゼロからイチからの大学受験を目指す場合、この5%は致命的に厳しい差になります。
どういうことか説明させていただきます。
これまであまり勉強してこなかった層にとって一番厳しいのは「読解力を要求される試験」です。英単語や社会など覚えるだけで対応できる問題に関してはどの段階からスタートしても10ヶ月あればほぼ同じ正答率まで上げられます。他方、英語長文や現代文など難しくはなくとも多少の内容理解が必要になる問題に関してはゼロから組は顕著に不利を受けます。もちろんそれはこれまでのトータルでの勉強量・知識量の差ですから、あってしかるべきハードルだと思います。
上記どうしても存在するハードルを考慮すると、ゼロからイチから大学受験勉強を始めた場合、センター試験換算で英語160点前後(200点満点)、現代文70点前後(100点中)、社会95点前後(100点満点)というのがひとつ目安となる点数になります。経験則ではありますが、このレベル以上に達する生徒は例えば中学受験を経験していたり進学校に通っているなど、少し有利な状態から大学受験を始めているケースがほとんどです。
話を戻しましてゼロから10ヶ月、前述の「合格マインド」を最大限に駆使しても辿り着く学力としてはセンター試験英語160点・現代文70点・社会95点、3科目合計325点(400点中)、得点率81.25%前後がどんな状態からでも計算できる到達点という感覚がありました。だからこそ2018年度までは「ゼロからMARCH」を実現できていたとも言えます。2019年度の難易度が今後も続くかはわかりませんが、もし続くのであれば少なくとも「ゼロから」のスタートでは間に合わない可能性が高いように思います。
※参考記事「MARCHと関関同立の徹底比較」
関関同立はMARCHより簡単に入れます。
もともとEDIT STUDYの前身であるEDIT STUDYはMARCH合格にこだわっていたわけではなく(勉強すれば受かるのは当たり前という認識でした)、10ヶ月一生懸命勉強を頑張ることで「結果」をつかみ、それを「自信」として“各人が気持ちのいい人生を歩むお手伝いをしたい”というところからスタートしました。単純ではありますが、「自分はやればできる!」という感覚をつかんで大学生活を送ってほしいと願っていましたし、そのコンセプトをより具体化していく中で「ゼロからMARCHを実現することで、人生の選択肢を広げる」ことを目指してきました。
ところが、前述のように各人の能力とは関係がない外部の事情でMARCH難易度が跳ね上がった結果、一生懸命勉強したもののMARCHにはギリギリ届かない生徒が増加し、勉強内容や努力の量は変わらないにもかかわらず、「受験に失敗した」という感覚を抱きながら大学に進学するという事態も散見されるようになりました。もちろん失敗をバネにさらなる努力をすることは大事なのですが、そもそも失敗ではないものを失敗ととらえる必要はないはずです。
とはいえ、関東圏であればMARCH、関西圏であれば関関同立のブランド力は今のところ絶大で、どうしても引きずられる部分は出てきてしまいます。つまり、そこに受からなければ失敗だと周りの人も言うわけです。この認識もいずれ変わってくるとは思いますが、現時点でより単純に“各人が気持ちのいい人生を歩むお手伝いをしたい”と立ち戻って考えたときに、入試難易度が比較的低く、それでいて進学時満足度の高い地方私立大学受験生のサポートに挑戦したいと考えるようになりました。他方、関東圏では引き続きMARCHの合格にこだわりつつ、そこに届かなかった場合のケアも必要だと感じています。
福岡天神校の開校は上記のようなプロセスを経て決定いたしました。
次回は地方進出第一弾として福岡を選んだ理由について書いてみたいと思います。