2019.4.24
私大入試が厳しくなった3つの理由
①2016年から始まったの定員厳格化
一定の基準よりも多く学生を入学させると国から大学への補助金が交付されなくなる制度である。これまで1.2倍だった入学定員充足率を、16年度は1.17倍に引き下げられ、17年度は1.14倍、18年度は1.1倍と年々基準を厳しくしている。
2018年入試では最難関(早慶上理)・難関(GMARCH、関関同立など)の私立大学では合格者を絞り込むことになり、それが波及して中堅(日東駒専など)・下位(大東亜帝国以下)私立大学の倍率、難易度が急上昇することに繋がった。そのため前年までの合格最低点を目安に受験校を選んでも、2018年では不合格になるケースが目立った。
例えば日本大(▲3853人)、法政大(▲3633人)、東洋大(▲3170人)、早稲田大(▲1960人)、明治学院大(▲1705人)、専修大(▲1638人)、明治大(▲1638人)、東京理科大(▲1576人)、青山学院大(▲1356人)、駒澤大(▲1223人)などである。この定員厳格化による合格数絞込みにより「急激な私大入試の難化」がこの数年で進行しているのだ。
②諦めきれない高学力の浪人生の増加
2019年センター試験出願数は全体では前年度より1万2,036人減少したが、浪人生は2,675人増加している。今までは早慶上理に受かっていた受験生はGMARCHにしか合格できず、GMARCHに合格できていた受験生は日東駒専レベルで受験を終えてしまう、その結果に納得出来ずに浪人を選択する高学力の浪人生が増えていると思われる。
また本来目指していたところを諦められずに滑り止めの大学に入学したが、再び本命を目指して受験勉強している仮面浪人も一定数存在しているはずである。公的データがないため正確な数字は不明だが、可能性は高いと思われる。
③複数出願
①②理由から「まさかの不合格」を経験した高校・塾・予備校・浪人生はセンター利用・一般入試ともにたくさんの大学・学部に出願することで、厳しい入試に対応しようとしている。
※EDIT STUDYのセンター・一般出願は例年1人当たり7~10校だが、12~15校と増加している
EDIT STUDYでも今年度、早稲田大学に合格した生徒も下は東海大・東洋大を滑り止めとしており、全国的に同じような出願がされていると考えられる。早慶を狙うような高学力の生徒が、下は大東亜帝国・日東駒専~出願していることで中堅・下位私大の難易度も大きく上昇したと考えられる。
※私大入試が厳しくなったデータ例
武蔵野北高校MARCH合格数(10年前からMARCH合格数を4倍にしたことで有名)