2018.11.29
文系・理系の選び方
今回は文系・理系の選び方について書いてみたいと思いますが、その前にまずは文系・理系の違いについて見ていくことにします。文系・理系の違いを知ることは進路選択の大きな参考になるからです。
受験勉強における文系・理系の違い
受験勉強における文系・理系の違いについてですが、ここはさらに細分化して①国立文系②私立文系③国立理系④私立理系に分けてご説明します。
① 国立文系 例:東京大学
受験方式:センター試験+各大学個別試験
問題形式:主に記述式
受験科目(センター):英語・数学1A・数学2B・国語・理科・社会2科目
受験科目(個別):英語・数学・国語・社会2科目
国立文系入試の特徴は2点あり、センター試験の得点と大学個別試験の得点を合算して合否が出る点、個別試験は主に記述式である点です。「センター数学1A」「センター数学2B」「センター古漢必須」「センター理科」、それに各科目記述対策が加わるため、偏差値表上で同偏差値とされる大学を志望する場合、私立文系に比べて少なく見積もっても2倍、大学によっては5倍程度の勉強時間が必要となります。最上位校を目指すなら遅くとも高校2年生に上がる春から準備を始めましょう。
② 私立文系 例:慶應義塾大学、早稲田大学、MARCH※など
※明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学の頭文字を取った総称
受験方式:センター試験利用枠or各大学個別試験
問題形式:主にマークシート式
受験科目:英語・国語(漢文は不要であることが多い)・社会
私立文系の特徴は、何といっても数学が不要である点です。数学を選択することも可能ですが、その割合は私立文系受験者の10%前後であり、国立大学との併願組を除けばさらに少数派です。さらに、現代文のみで受験可能な大学・学部も一定数あり、実質的に英語と社会のみで勝負できるところが大きなポイントです。最も逆転合格がしやすいルートで、「勉強は好きでも得意でもないけど努力はできる」というタイプの方に向いています。
③ 国立理系 例:東京大学
受験方式:センター試験+各大学個別試験
問題形式:主に記述式
受験科目(センター):英語・数学1A・数学2B・国語・理科2科目・社会
受験科目(個別):英語・数学・国語・理科2科目
国立理系の特徴は、その前提条件の厳しさです。勉強量自体は一見すると国立文系とあまり変わらないように思えますが、数学が1A・2Bに加えて3Cまで必須であることが多く、また、理科科目でも相当量の計算が必要となるため、理解力と計算力を前提とした受験勉強になります。この理解力と計算力の養成には通常多大な時間を要しますので、トータルで必要とされる勉強量は圧倒的ナンバーワンであり、逆転合格が最も難しいルートです。最上位校を目指すなら遅くとも中学段階からコツコツと基礎を積み重ねておく必要があります。
④ 私立理系 例:慶應義塾大学、早稲田大学、MARCHなど
受験方式:センター試験利用枠or各大学個別試験
問題形式:主にマークシート式
受験科目:英語・数学・理科
私立理系の特徴は、第一志望とする方が非常に少ない点です。理系学部の場合は国立と私立のレベル差が大きく、国立理系を目指して滑り止めで私立理系を受験するという形が一般的です。他方、医学部・歯学部・薬学部の、いわゆる医歯薬系に限れば私立大学を第一志望とする方も一定数いますが、こちらは授業料の高さが暴力的と言っていい状況のため※、成績がいいからといって簡単に目指せるところではないのが現実です。
※参考 医学部であれば6年合計1910万円~4720万円(国立は350万円)
結論
文系・理系の選び方としては、上記現実を踏まえたうえで、自分の興味に沿って進みたい道に向かうのが理想的です。一方、「特にやりたいことがない」「大学に入って考えたい」「できるだけいい大学で切磋琢磨したい」というような場合は、最も逆転合格がしやすいのが私立文系、最も逆転合格がしにくいのが国立理系という観点から進路選択をするのも一手です。
以上、参考になれば幸いです。