2018.11.17
センター利用枠の出願―国語の解答範囲について
今回のコラムでは私立大学センター利用枠の出願について書いておきます。特にゼロからの逆転合格を狙っている方やセンター枠でMARCH合格を決めようとしている方にとって、センター利用枠での出願は受験戦略上とても大切な位置を占めるので、ぜひ役立ててみてください。
私立大学文系センター利用枠を検討するとお気付きになると思いますが、近年の各大学の入試制度は複雑化していく一方です。そのため、最低限いくつか考えておかなければならないことがあるのですが、このコラムではまず「国語の解答範囲」についてお話をします。
国語の解答範囲は原則「現代文」のみ!
センター試験の国語は時間制限が極めて厳しい試験であることをご存知でしょうか。現代文2題、古文1題、漢文1題で解答時間80分であるため、1題あたりにかけられる時間は20分となり、この20分で本文の読み込み、小問の根拠の洗い出し、解答までを行わなければなりません。英語と同様、国語の文章量も以前と比べてかなり増加しており、まともに現古漢のすべてに取り組めばその厳しさは英語の比ではありません。地方や非進学校の公立高校などでは全生徒に全範囲を解答させるのが当然という風潮があるようですが、これは受験戦略を全く更新していない証と言えます。
まず、前提として、私立大学文系センター利用枠を狙っていく生徒は「現代文のみ」「現代文と古文」「全て」と解答範囲を選ぶことが可能です。これは、大学によってセンター枠での入試に「現代文のみ」「現代文と古文」「全て」のどれを要求しているか異なるためですが、自分が出願しようとしている大学が現代文・古典・漢文のどの範囲を要求しているのか、まずはしっかりと確認をしてください。ただし、センター試験利用枠はあくまで滑り止めの大学を確保するために出願するという側面が強いことも念頭に置いておきましょう。以下、簡単な国語の解答範囲を決めるためのチェックシートを作成しました。基準に沿って解答範囲を決定してみてください。
※以下のチェックリストで実力を確認してみましょう。
□ 昔から国語は得意であると言い切れる(2 点)
□ センター国語で時間切れになったことは一度もない(1 点)
□ 第一志望に古文・漢文まで必要である(1 点)
□ 模試や演習で200 点中160 点(150 点中120 点)以上を取ったことが二度以上ある(2 点)
□ 模試や演習で200 点中140 点(150 点中105 点)以上を取ったことが二度以上ある(1 点)
■0-2点以下→センター試験では現代文のみ解答してください。古典以上が必要な大学へのセンター枠出願は避けましょう。
■3点以上→滑り止めの意味について理解したうえで、好きな範囲を解答しましょう。
このような形で得点化すると、ゼロからMARCH以上合格を目指す多くの方は2点以下になるかと思います。一方で、自身の第一志望の大学に古典が必要だという事情から、この結果を無視しようとする人もいるかもしれません。ですが、MARCH以上のセンター枠はボーダーラインが80%以上となることから、英語・社会でアドバンテージを得ることを考慮しても「国語では70%以上の得点率を死守すること」が至上命令です。目的のために最適な戦略を取りましょう。
EDIT STUDYでは例年、センター国語で古典・漢文まで解く生徒は1割、多くても2割程度しかいません。より大きく受験全体を考えると、センター試験利用枠はあくまで「滑り止め校」を決定するためのものです。英語・社会でアドバンテージをとり、80分しっかり使って現代文で70点以上を確保することで、とりあえず滑り止めの大学に合格しておき、センター試験後、第一志望の大学のことだけ考えられるようにすることがセオリーです。第一志望の大学は一般入試で合格すればよいのです。まずは滑り止めの大学を一つ以上確保しましょう。