2018.11.12
速読の重要性―読み込みの方法
以前のコラムでは、読解に特化した文法として、五文型、接続詞・関係詞、To不定詞、分詞の四つについてお話をしました。その内容を踏まえ、全ての英文の構造が把握でき、また、書いてある通りに意味を取れるようになれば型としては完成です。あとはこの型を意識しないでも完璧に使いこなせるようにする作業が必要です。この型を身に付けるための作業が「読み込み」という勉強法です。
読み込みという英語勉強法自体がそれほど一般的ではありませんので先に説明しておきますと、読み込みとは①「一度完璧に文法的に精読した英文」を②「音源を聞きながら繰り返し読む」というシンプルな勉強法です。
How to 読み込み
読み込みには三段階あります。
具体的なやり方を、以前ご紹介した英文を使って説明していきます。
まずは、以下の文章を見てください。
They also have difficulty helping many minority and low-income students perform at the same level as others.
(出典:VOA)
Her father used imagination to make them stop thinking about how poor they were.
(出典:VOA)
英文に目を通したら、以降は以下の手順で進んでいきます。
■STEP1 仕込み作業(構造把握&書いてある通りに読む)
何も書き込んでいないテキストをコピーし、そこにわからない単語の意味、各文章の五文型、接続詞・関係詞、To不定詞、分詞を書き込んだうえで、自分の力で書いてある通りに前から訳すことができるようにします。上記の例文を使うと、以下のようになります。
V’ O’ C’
They also have difficulty helping many minority and low-income students perform <at the same level as others>.
☆have difficulty Ving ~するのに苦労する
:彼らはまた助けるのに苦労している、多くの少数派と低収入の生徒が(学習を)行うのを、他者と同じレベルで。
S V O 副・目的 V’ O’ C’ 名詞節
Her father used imagination to make them stop thinking <about [how poor they were]>.
☆使役make 「OにCさせる」
:彼女の父は想像力を使った、彼らに考えるのをやめさせるために、どれほど彼らが貧乏化について。
読解スピードを上げるためには、「構造を把握」して左から右に「書いてある通りに読む」ことが重要です。これが完了したら、次のステップに続きます。
■STEP2 仕込み完了確認(インプット確認)
何も書き込んでいないテキストを用意し、単語、五文型、接続詞・関係詞、To不定詞、分詞を理解できているか確認します。問題なく意味が発生すれば仕込み完了です。もし単語や文法が理解できていない等により意味が発生しない場合は再度プリントで確認し直します。この仕込み作業と完了確認ができていなければ読み込みの意味は一切なくなりますので、まずはSTEP1とSTEP2を万全にしましょう。
■STEP3 読み込み(英文への慣れ養成)
仕込みが完了したら何も書き込んでいないテキストを使用し、文字を目で追いながら音源を聞きます。読み込みは、ここでちゃんと頭の中で確認作業を行わなければ何の意味もありません。聞き方としては、文章全体を10回程度まとめて聞き込み、単語、文法事項を頭に叩き込んで、英文への慣れを養いましょう。頭の中で高速で意味が発生すれば音源と同じスピードで読めているということ=速読できているということになります。
以上が、速読練習【読み込み】の具体的方法です。
私たちEDIT STUDYではこの読み込みを非常に重視しています。その理由としては、特にセンター試験が顕著ですが、私立大学個別入試でも特に2000年代後半以降は英語を速く読むというスキルが受験生に求められているからです。逆に言えば、いかに語彙を鍛え文法を正確に学習しようとも、速く読めない受験生はそれだけで門前払いされてしまうという現実があります。
この読み込みは、英語を早く読めるようになるため、浪人生の場合は平均して毎日二時間半から四時間程度やるよう指示を出しています。毎日毎日何時間も英文を繰り返し読み続けることは大変な作業ではありますが、これを指示通り行うことでたった10カ月でゼロからでも英語を武器に変えることができます。一方で、読み込みを指示通りに行わない場合、ゼロからのMARCH以上逆転合格は難しくなります。
単純な作業ではあるのですが、大学受験の勉強法として十分に効果的でメリットの多い勉強法なのです。