社会暗記の基本について

こんにちは。
DIET STUDY塾長の村山です。当塾では例年この時期に社会範囲を一通り終了し、ここから先を反復作業と演習に充てていきます。今日は社会暗記の基本について説明させて頂きます。

【反復について】
「社会を覚えられない!」という人は世の中に相当数いますが、逆に聞きたいのは「で、何回くらい反復したの?」ということです。まず必死に勉強しましょう。コツや効率はその後です。「どうせ忘れるからマイペースでやる」というのも勉強をしない生徒の言い訳としてよく聞きますが、人間なら誰だって忘れます。だからこそ、忘れそうになっているところに重ねて叩き込んでトラウマ化していくのです。全てに上手いゴロがあるわけでもなく、全てが初めからきれいに理解できるわけでもありません。誰が何と言っても社会は基本的に反復量で決まります。いくら暗記が得意だからといって1回見ただけで覚えるような人は事実上存在せず、得意な人は反復の仕方がうまい&速いというのが最大の特徴ということになるでしょう。

反復のコツは3つ。

1. 自問自答をすること
「アヴェスター」とだけ127万回紙に書き殴っても問題は一生解けません。理解できるでしょうか。重要なのは「ゾロアスター教の経典は?」と自問自答して「アヴェスター」と答えることです。これをうまくやれるように授業で色々なラインを引いているわけですので、早めにコツを掴んでください。ちなみにこれが暗記において最重要で、これが出来ない人は永遠に何も覚えられません。今後、資格試験等に進む人もいるかと思いますが、勉強の根本は暗記です。ここで頑張りましょう。

2. 必ず問題演習をはさむこと
教科書だけを眺めていても問題は解けません。「ある程度覚えたな」と感じたら問題演習に着手し、「何が問われているのか」「何の知識があれば解けるのか」をよく確認して再び教科書暗記に戻ります。

3. 反復回数を増やすこと
「社会は覚えるだけ」「暗記は反復だ」。たしかにその通りです。ところが、この反復作業のやり方を間違えてしまうとこちらの意図した通りの結果にはなりません。

まず、「暗記は反復」についてですが、より正確には「記憶は思い出した回数だけ強化される」と考えてください。この点に関しては授業中、意識的に質問を投げかけるようにしています。ある単語から連想される、あるいは押さえておくべき質問を思い付くままに挙げ、特に重要なものはcf.(参照)として書き込みをさせていきます。この「問いかけながら勉強する」スキル(生まれ持った能力ではありません)を身に付けることで思い出す回数が増し、結果、記憶が強化されるということをまずは確認してください。暗記が苦手という方の多くはこの段階でつまずいているように思います。

問いかけを意識できるようになったら、次は反復回数をできるだけ増やすことを目標としましょう。
例えば、次のAくんとBくんはどちらがうまく暗記できるでしょうか。

Aくん

Bくん

勉強方法

世界史教科書5ページを毎日2時間かけてじっくり丁寧に覚える。 世界史教科書30ページを毎日2時間でざっくり覚える。

※世界史教科書は全部で約360ページ

「性格の問題がある」「向き不向きもある」「いや、そもそも“じっくり”と“ざっくり”の定義があいまい」等々いろいろな意見があって一概には言えない。

と、思った方はちょっと待ってください。
受験指導の立場から言えばこれは圧倒的にBくん有利です。というよりも、特に時間が限られている状況であればAくんが勝つ可能性はまずないと思われます。では、期間を3ヶ月に延長して反復回数に着目してみましょう。

Aくん

Bくん

1週間進度

30ページ

180ページ

1ヶ月進度

120ページ

720ページ

3ヶ月進度

360ページ

2160ページ

Aくん:30ページ×12週間=360ページ
3ヶ月でようやく一周終わりました。当然ながら反復回数は1回。さらに、いくらじっくり覚えたとはいえ最初の範囲は3ヶ月前に一度触れたきり。もはや覚えている方が不思議です。

Bくん:180ページ×12週間=2160ページ
2160÷360=6 反復回数は実に6回。実際にやると分かりますが、6回もやると忘れる方が難しい。むしろ忘れたくても忘れられないという領域まで突入していきます。

いかがでしょうか。
最終的には自分が納得できるかどうかだとは思いますが、私はBくんスタイルを強くお薦めします。世界史に限らず暗記系は全て同様に処理すべく勉強計画を立てましょう。

以上が世界史暗記のほぼ全てです。
以下はあくまでも補助手段として念のため書いておきます。

◇ 紙にあまり書かないこと
字を書いている暇があったら声に出しましょう。特に世界史はカタカナが多いので書く意味はほぼなく、基本的に音で覚えます。ただし、漢字だけはきっちり正しく書いて覚えましょう。どうしても書きたいという方がいれば書いてもいいですが(禁止事項ということではない)、勉強に使用した紙は必ず捨ててください。「こんだけ勉強したのに!」のアピールは要りません。頭に叩き込んでこその勉強で、それ以外は端的に無意味だという意識をはっきり持ってください。きつい言い方をすれば、紙に書いて満足している人は一生勉強ができない人のままだと思います。

◇ 年号暗記
理由は色々とありますが割愛。とにかく偏執狂的に年号を覚えましょう。ゴロを併用するのもいいですが、上に書いたように全てにうまいゴロがあるわけではないので最終的には「イメージで暗記」します。これはうまく表現できませんが、教科書をひたすら眺めていて配置まで覚えるレベル(「あの右下にエラスムスの肖像画があるページの真ん中やや上に書いてある」等)に達すると分かってきます。とにかく年号は暗記。覚えるべき年号は一般に重要年号とされていないものも含めて大量に指示します。

◇ 生徒同士で問題を出し合う
これは空いた時間を見つけては必ずやってください。特に年号はこれが相当効きます。

【勉強イメージ】
実際の大学入試ではいわゆる「典型問題」、つまり、真っ当な受験生なら誰でも知っていて当然の問題と、どこかで見たことはあるが細かすぎて記憶があいまいになっている問題(これを「難関問題」とする)、そして、全く誰も見たことがない問題(これを「カルト問題」とする)の三種類に出くわします。そして、一般的には最上位大学に近付くほど後者の割合が少しずつ増えていきます。

それでは最上位校である早稲田大学でこの比率がどの程度かというと、だいたい典型問題80%に対して難関問題10%、カルト問題10%といったところだと思います。実際に塾生でよく勉強している子なら早稲田世界史でも8割程度の得点を叩き出すことは特に珍しくありません。ところが、早稲田で9割となると一気にハードルが跳ね上がって全受験生を見渡してもほぼ皆無となります。そもそも予備校の解答が割れるような恐ろしい問題は最初から受験生の範疇ではないのです。一方で、ボーダーラインは得点調整を考慮に入れても7割強です。

これは何を意味しているかというと、言葉にすると当たり前なのですが、取れるところを確実に取っている受験生が合格しているということです。より具体的に言えば、多くの受験生がしきりに気にしている難関問題やカルト問題にはほとんど関係なく、8割を占める典型問題の部分の正答率をどこまで上げられるかに最終的な合否はかかっていると言えます。

話を戻しまして、ここにAくん、Bくんふたりの生徒がいるとします。

Aくん

Bくん

性格

世界史が好き

真面目

典型問題正答率

90%

100%

上記正答率に至るまでの
勉強時間

400時間

500時間

難関問題正答率

50%

0%

上記正答率に至るまでの
勉強時間

400時間

0時間

カルト問題正答率

10%

0%

上記正答率に至るまでの
勉強時間

400時間

0時間

合計世界史勉強時間

1200時間

500時間

Aくんは高校入学時からそもそも世界史に興味があって非常によく勉強しており、教科書に書かれている典型問題なら90%の正答率を誇り、難関問題でも50%、カルト問題にも10%正解できます。相当な世界史マニアと言えるでしょう。Bくんも負けず劣らず熱心に勉強していますが、Bくんの場合は高3から受験勉強を始めたという事情もあって典型問題のみ正答率を100%にすることができましたが、難関問題とカルト問題に対しては全くのお手上げ状態です。

このふたり、受験を知らない人から見れば「ふたりとも頑張ってるね、よしよし」で終わる話、受験生から見ると「Aくんの世界史は凄まじいアドバンテージだからなー」とかいう話になりがちですが、いざ本番を迎えてみると、Aくんが落ちてBくんが合格するということは多々あります。本当によくある話なのです。

一体どういうことなのでしょうか。
検証してみましょう。

Aくん

Bくん

典型問題80点中

72点

80点

難関問題10点中

5点

0点

カルト問題10点中

1点

0点

合計得点

78点

80点

分かりやすくするために話を単純化した部分はありますが、この状況自体は皆さんにも身に覚えがあるところかもしれませんし、私は毎年2月に至近距離で目撃しています。難関問題を50%、カルト問題まで10%も正解できるのですからAくんが頑張っていないとは誰も思いません。その努力が報われてほしいと思います。ただ、現実には報われません。なぜならAくんタイプの受験生は世界史に時間をかけすぎてしまう傾向が顕著で、勢い、他の科目に難があることが多いからです。

以上、ガリ勉だとか進学校出身だとかに関わらず、典型問題で9割程度しか取れない受験生は単純に不合格なのです。その緊張感をしっかり持ってください。

認識がここまで来ると半分は勝ったようなものです。ここから先は「じゃあ、どうやったら一度やった典型問題・知識を忘れずにいられるか」を真剣に考えるようになります。それが理解だったりゴロだったり反復だったりするのですが、この認識が本当にあるならそんなのは自分で試行錯誤すれば必ず辿り着きます。とにかく「一度扱った内容を忘れない」ということを強く意識してください。「惜しかった~」とか「本当は分かってたのに~」とか言っている場合ではありません。

それでは「世界史なんか覚えるだけ」と言える程度に頑張ってみてください。
目標は10月末のマーク模試で満点です。皆さんの健闘を祈っております。