大学の名物教授・講義
MARCH・早慶の名物授業と名物教授紹介
こんにちは。EDIT STUDYです。今回の記事では『大学の名物教授・講義』というテーマでお話ししていきたいと思います。大学の授業は学部によって、履修できる(=単位になる)授業が限られており、好き勝手にとれるわけではありませんが、大きい大学は他学部履修が認められていることも多いです。
同じキャンパス内で大教室であれば、こっそり受講しても問題ありません。
大学の授業は興味のない人にとっては面白みがない、と言えますが、興味のある授業・内容にどっぷり浸かることが出来る場でもあります。自分でカリキュラムを組むことになりますから、少しでも興味のあるものを選びましょう。
以下、独断と偏見で何人かの教授や授業を紹介します。
1. 慶應大学
環境情報学部 (湘南藤沢)藤井 進也准教授 『音楽と脳』
藤井進也准教授の専門分野は音楽神経科学・音楽身体科学です。神経科学や発達脳科学の観点から、ヒトの音楽性の進化・発達的起源や、音楽・言語リズムの脳内処理過程、聴覚フィードバックを用いた運動学習やリハビリテーションについても研究を進めています。
授業の内容・特徴
「巧みで美しい身体運動は、音楽や芸術行為の中に満ち溢れています。ドラマーとして音楽を演奏する傍ら、ヒトの身体運動の不思議さに魅了され、一流ドラマーの身体科学研究をはじめました。研究をすればするほど、そもそもヒトはなぜ、リズムを奏でるのか、ヒトにとって音楽とは何か、より本質的な問いに迫りたいと思うようになりました。」とし、音楽と脳に関する最先端の研究知見について講義します。またゲストでRADWIMPSがゲストで登場するなど他の授業にはない経験が出来ることから非常に人気の高い授業です。
経済学部 櫻川 昌哉教授 マクロ経済学 国際金融 国際政治経済学
2人目にご紹介するのは、経済学部の 櫻川 昌哉 教授の『マクロ経済学 国際金融 国際政治経済学』です。櫻川教授は2022年度に慶應義塾賞を受賞した教授になります。「バブルの経済理論 長期停滞 低金利 金融劣化」という著書も出しており、著書の中ではバブルをテーマとして、米国で起きたリーマン危機などを題材にしています。
教授から学生へのメッセージ
教育の現場で目指しているのは、学生の中にある「創造する脳」を刺激することです。私の教育方針は「覚えるな、考えろ」です。残念なことに、大学受験の世界では逆に「覚えろ、考えるな」が正しいことになってます。そのほうが試験で高得点をとれるからです。学生生活でもとめられるのは脳のリハビリ、つまり、結論から先に覚えてしまうことをよしとしてきた脳を、時間をかけて丁寧にじっくり考えることができる脳に修正することです。長い人生、順を追って論理的に考える能力は一生の宝となります。論理の流れを楽しめる柔軟な脳を手に入れれば、人生は実り多いものとなるでしょう。
2. 早稲田大学
社会科学部タンシンマンコン パッタジット先生 『Lectures on Social Science』
早稲田大学では学期ごとの学生授業アンケートを基に、優れた教育を実践した教員に「ティーチングアワード」を授与しています。そこで今回は、2021年度春学期にティーチングアワード総長賞を受賞した、社会科学総合学術院 社会科学部講師のタンシンマンコン パッタジット先生の『Lectures on Social Science』をご紹介します。
授業の内容・特徴
東南アジアの歴史や国際関係を通して、人種、平和、自由など世界で通用する概念を問い直していきます。これまで幾度となく戦場となり、今でも民主主義や自由のために命を落とす人がいる東南アジアの経験を通して、平和と自由はなぜ重要か、その価値をもう一度考えさせる授業です。そして、平和な生活を送る私たちが、そうではない人たちのために何ができるのか、過去の歴史から現在を知ることで、未来を考えるきっかけになればと思うのです。授業は前半70分が講義、後半20分はグループディスカッションという構成で、履修者には留学生もいます。
上條 良夫教授 『実験経済学I 01』
同じく2021年度春学期にティーチングアワード総長賞を受賞した、政治経済学部 上條良夫 教授の『実験経済学I 01』をご紹介いたします。
授業の内容・特徴
2回に1回は単元テストという小テストも実施した。ユニークなのは回数無制限で受け直せるところだ。「問題の難易度は高めです。そのかわり何度やってもいいので満点目指して頑張ってという感じですね」。点数は平常点として加算されるため、学生は何度も挑戦した。「自動採点ですぐ点数が出るので挑戦したくなるのでしょうか。『おかげで健全な学びにつながりました』と書いてくる学生もいました」。
期末試験もオンラインだったが、その出題方法にも工夫がある。全6問のうち前半3問は頑張ればできる問題、後半3問は頑張っても解けない問題を用意。解答時間は3日間あるが、後半の問題は正解率が10%を切るほどの難問だった。「単位が目的なら前半だけ解けばいいと言ったんですが、8割9割ぐらいの学生が後半も解答していました」。
3. 明治大学
文学部 齋藤 孝 教授 メディア露出も多い著名な教授
明治大学でご紹介するのは「声に出して読みたい日本語」(草思社) など多くの著書もあり、テレビ出演では『世界一受けたい授業』(日本テレビ)に講師として出演するほか、『にほんごであそぼ』(NHK Eテレ)、『ガチャガチャポン!』(フジテレビ)や『東大王』(TBS)で企画と監修を担当しています。最近では『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ)、『Live News イット!』(フジテレビ)のレギュラーコメンテーターでもあります。
授業の内容・特徴
「協力して一つの作品を作ることが一番お互いにクリエイティブな関係性になりやすいんですね。新しい指導要領では学力について思考力、判断力、表現力を三本柱としています。その中でも表現力を高めるために、演劇やショートコントを通して、知性を基盤にして教科の内容を笑いのあるものにまとめていくことを目指しています。」という教育方針のもと、授業内でコントや演劇を学生に実施させることもある非常に特徴的な授業です。
4. 立教大学
経営学部 高岡 美佳教授
立教大学でご紹介するのは経営学部の高岡美佳教授だ。10代の頃、紘川淳の名義でごく短期間、アイドルとして歌手や女優をしていたことでも知られている。芸能界から引退したのちに学者の道に進んだ非常に珍しい人物でもあります。近年は経営学者としてテレビ出演の機会も増えているほか、企業の社外取締役、政府の審議会委員などを務めている。
授業の内容・特徴
流通が果たす社会的・経済的役割について研究している。百貨店・路面専門店・スーパー・コンビニなどのリアル店舗やECのマーチャンダイジング(販売目標を達成するための商品仕入れ、価格設定、販売手法、販促手法)を専門とする。また、大学院では、ビジネススクールで教鞭をとり、既存企業が新たな事業を生み出すためのプランニングについて指導している。資本コストを意識した経営と事業のプランニングを得意とする。
5. 中央大学
法学部 学部長 遠藤研一郎学部長
中央大学でご紹介するのは学部長である遠藤研一郎教授です。遠藤教授は日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」に出演したり、「相続登記の義務化」の制度が令和6年4月1日より開始されたことに伴い、4月5日(金)放映の報道ステーション(テレビ朝日 よる9:54~)において、法学部教授 遠藤研一郎(民事法)のコメントが取り上げられたりするなど、メディア協力も実施している著名な教授です。
授業の内容・特徴
民法が専門の遠藤教授は授業の中でも、学生の身近なものにスポットを当てつつ法の深い範疇まで掘り下げる講義を展開しています。例えばいじめ、SNS、ブラックバイト、そして18歳選挙権など・・・。法律は、大学生の日常にも大きく関わっています。さらに、民主的で、平等な社会を作っていくための様々な工夫や知恵が、織り込まれています。
講義の中では、例えば損害賠償制度を「相対化する」という見方も学生にしてもらえるように工夫が凝らされています。また、誰がどのようなリスクを負担するのが、社会にとって有益なのかというバランス感覚が大切であるということを感じとってもらえるような実践的な講義が展開されています。
6. 青山学院大学
地球社会共生学部 原晋名誉教授
青山学院大学でご紹介するのは、皆さんご存じの2024年箱根駅伝で、青山学院大学を2年ぶり7回目の総合優勝に導いた原晋監督です。監督就任後、5年目で大会出場、11年目で優勝を実現し、「青学旋風」を巻き起こしてきました。現在は地球社会共生学部教授としても活躍する原教授です。
授業の内容・特徴
原教授が担当しているのは「リーダーシップ論演習」「キャリアデザイン・セミナー」「フレッシャーズ・セミナー」です。今は人気のあまり、受講希望者は定員の3倍に達して、抽選になっています。スポーツに限らず、どんな組織にもリーダーの資質は必要ですし、求められるものは万国共通です。リーダーシップを「生まれ持った資質」と考える人もいますが、そうではなく、さまざまな個性を持つ人が、その人なりのリーダーシップを発揮することが望ましいと思っています。「リーダーとは何か」という総論も伝えつつ、「自分がリーダーだったらどんな形でリーダーシップを発揮するか」を学生自身が考えるようなアプローチにしています。
7. 法政大学
グローバル教養学部 新谷 優 教授
法政大学で紹介するのはグローバル教養学部の新谷 優教授です。新谷教授は2023年度のベストティーチャー賞を専門部門で受賞した教授です。2024年1月よりAsian Journal of Social Psychologyの編集長を務めており、2021年度日本心理学会国際賞奨励賞も受賞。専門は社会心理学と文化心理学に精通している教授です。
授業の内容・特徴(教授から学生へのメッセージを一部抜粋)
人に好かれたい、一目おかれる存在になりたい、できるヤツだと評価されたい…。私たちは常に他者の目を気にして生きています。他者から良い評価を得られれば、自尊心も高まり、幸せになれると思っています。しかし、他者から良い評価を得ようとすればするほど、私たちは幸せから遠ざかっている可能性があります。人から何かを得ようとするのではなく、人のために何かをし、人の幸せに貢献することこそ、良い対人関係、高い自尊心、そして幸せへの近道なのではないでしょうか。私の研究室では、「どのようにしたら他者の幸せに貢献できるようになるのか」を社会心理学的なアプローチで探求しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。各大学の名物教授・講義は参考になりましたでしょうか。私見ではありますが、大学の授業はおもしろい授業が多いと思います。それぞれの分野に特化した研究者(=教授陣)の話を聞くことができ、自分で聞きたい講義を選択できるからです。
もちろん、単位が取りやすいことも大事ですが、単位至上主義で大学生活を送るのは「知」の面であまりにもったいないと言えます。大学生は時間がありますし、義務教育や高校に比べて、「強制力」がありません。だからこそ、自分を自分で律することや、短期的・短絡的で良いので何らかの目標を持つことが大事ではないかと思います。
その点では、様々な学部があり、講義も多岐にわたる「マンモス大学」がおもしろいと言わざるをえません。(「お金がある大学」、「権威・歴史がある」の方が、設備・人材も充実しており、良い機会にめぐまれると思います)
ぜひ読んでいる方の大学・学部選びの一助になれば幸いです。