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同じ勉強量を重ねても受験結果が異なるのはなぜか?

今日は多くの受験生にとって非常に重大だと思われる「同じ勉強量を重ねても受験結果が異なるのはなぜか?」という疑問について、できるだけ真正面から分析してみようと思います。年度開始時点のこのタイミングでこの問題を意識しておくことは今後の学習にも大きく影響してくると考えるからです。

この問題について真正面から取り組まざるを得ないのは当塾特有の事情も関係しています。当塾の合格保証条件を満たしている生徒は、もちろん全く同じとは言えないまでも、受験生全体の標準偏差からするとかなりの程度まで勉強量、受験に関する知識量が等しいと言えます。そうなるよう勉強量を管理しているからです。にも関わらず、結果に看過できない違いが出てしまうのはなぜなのでしょうか。この問いに対して「地頭が違う」「運次第」などという回答は、仮に真実だとしても解決不能という意味で不毛です。

そこで、別角度からもう少し詳しく生徒たちの成績を分析してみますと、勉強量と点数の相関が低いのは「英語長文読解」と「現代文」であることが分かります。個人差で言うならば、特に「英語長文読解」の差が大きいです。

私大文系三科目のうち他の分野、「英語語彙問題」「英語文法問題」「古文語彙問題」「古文文法問題」「古文常識問題」「世界史」「日本史」などは多少の個人差はあるにせよ、知識量と点数には大きな相関があります。言ってしまえば、「覚えていれば点数になる」「時間さえかければなんとでもなる」部分なのです。一方で、「英語長文読解」と「現代文」は勉強時間を重ねたところで点数が確実に上がり続けるとはかぎりません。むしろ、多くの受験生はスランプだとか伸び悩む時期を経験することになります。

真正面からいきましょう。

これはなぜでしょうか。

「英語長文読解」「現代文」ともに、言語は違えど「文章から意味を読み取る」という作業が必要になります。では、文章から意味を読み取る作業とは具体的にはどのようなプロセスなのでしょうか。このプロセスを詳細にみていくことで読解力の謎が解けるはずです。

現代の認知心理学領域の発展は、私たちの知性の働き方について多くのことを示唆しています。例えば、文章を読むという活動は脳内のワーキング・メモリというところで以下のようなたくさんの処理が行われることで成り立っています。

1. 単語の意味を思い出す
2. 短文としての意味を理解する
3. 前に読んだ文を覚えておく
4. 前に読んだ文と、後に読んだ文の関係性を掴む
5. 前に読んだ文から、次に来る内容の文を推測する
6. 文章全体としての統一的な解釈を捉えようとする

実際には脳内の各モジュールで、より複雑で多くの処理が行われた結果が文章を読むという行為らしいのですが、意識できるレベルで簡単に列挙してもこれだけの作業を同時並行で行っているのです。

そして、これら1~6の処理を、より低次な処理(1,2,3…)から順に行うのがボトムアップ処理です。ここは文章を読むうえでの土台と言える部分なので、ここでつまずいてしまっては読解スピードが格段に落ちてしまうのは想像に難くありません。したがって、文章読解をスムーズに行うためには単語や文法の知識が必要であることがわかります。ここまでは常識の範疇と言えるでしょう。

ところが、私たちは文章を読む際にボトムアップ処理一辺倒かというと、そうではありません。

例えば、次のような書き出しから始まる文章を見たときに、皆さんは何についての話題だと考えるでしょうか。

「隣り合って流れるふたつの泡を見てみよう。それらは近付いたり離れたりしながら滝の上を流れている。では、このふたつの泡が滝底に落ちたとき、これら同士の距離はどうなっているだろうか。」

使われている単語、文法に特に難しいものはありませんので、ボトムアップ処理としては全く問題がなさそうです。しかし、この時点ですでに読み取った内容の理解と深さは人によって大きく異なるのです。

それでは、この後に続くであろう文章を以下のうちからひとつ選んでみてください。

1. その泡の間から、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこ、と流れてきました。

2. そんなことを考えながらもまた日は沈む。はて、今日の夕食は何だろうか。

3. ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。

4. ニュートンに始まる近代物理学の範疇で言うならば、この問いには答えることができない。


1. その泡の間から、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこ、と流れてきました。
小学校低学年ならば1を選ぶかもしれません。

2. そんなことを考えながらもまた日は沈む。はて、今日の夕食は何だろうか。
何にでも反抗したがる中高生ならば2が正解ではない理由を求めて暴動を起こす可能性があります。冗談はさておき、この2を選ぶタイプの受験生の成績はかわいそうなほどに伸びません。「根拠」という言葉の意味と「入試」という制度の本質を全く理解していないからです。端的に、2が正解になり得る世界では受験勉強は成立しません。

3. ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
なんとなく聞きかじったものを披露したいだけの人なら3を選ぶのでしょう。一応「泡」という単語に反応しようとしている点で2よりはほんの少しだけマシですが、いずれにせよ平気で2や3を選ぶ受験生が難関大学に合格することはなさそうです。

4. ニュートンに始まる近代物理学の範疇で言うならば、この問いには答えることができない。
「最も可能性が高い文章は?」と問われれば多くの真っ当な大人は4を選びます。もっと言えば、そのうえでおそらくはカオス理論についての話に展開していくところまで推測します。あるいは逆に、決定論に向かう可能性も考慮しながら次の文章を読み進みます。

つまり、カオス理論や決定論についての前提知識があるかどうかで、たった数行の文章から読み取る内容も大きく異なってくるのです。

このように、あらかじめ持っている基礎知識から逆算して、つまり、上記1~6のプロセスでいうと、より高次な処理(6,5,4…)から順に行うのがトップダウン処理と呼ばれるものです。私たちは文章を読む際にボトムアップ処理と並行してトップダウン処理も行うのが普通なのです。そして、このトップダウン処理がスムーズに行えない場合、文章読解のスピードは劇的に低下し、最悪の場合は文章の意味自体が全く掴めないという事態に陥ります。これは専門書を読んだことがある方であれば誰しも経験のあることだと思います。

まとめます。
重要なことは二点です。

1. 文章を読む際にボトムアップ処理とトップダウン処理を並行していることを意識すること
2. 塾・予備校で鍛えられる処理能力はボトムアップ処理だけであることを理解すること
(より正確には、トップダウン処理は自学自習の方が圧倒的に効率がよいということ)

2に関して少し補足しておきますと、例えば、当塾で行っている英語読み込みは「語彙」「文法事項」「文章への慣れ」「推測能力」を同時に鍛えることのできる優れた勉強法であると言えますが、これはあくまでもボトムアップ処理の訓練なのです。10ヶ月間真面目に行えばボトムアップ処理のレベルは受験生としてほぼ最高レベルまで鍛えることができますが、一方で、上で見てきたようにボトムアップ処理だけでは文章を速く正確に読むことはできないのです。

このようにトップダウン処理の重要性を理解すると、具体的に二点いいことがあります。

ひとつは、直接的には学校の勉強に関係がないことでも受験の点数に結び付く可能性があると言い張れることです(誰に?もちろん親御様に)。小説や漫画、ゲーム、映画などの知識がトップダウン処理に貢献することは大いにあります。というよりも、現実的に「学校の勉強だけしていて」「頭がいい」という人はほとんど存在しないのではないでしょうか。ここではいくつか漫画の例を挙げてみます。

【トップダウン処理インプット用漫画】
おーい竜馬(幕末期日本)
ヴィンランド・サガ(中世ノルマン人の風俗)
ちはやふる(百人一首)
ヒストリエ(アレクサンドロス大王)
キングダム(秦の始皇帝)
テルマエロマエ(ローマ帝政)
蒼天航路(三国志)
あさきゆめみし(源氏物語)
陰陽師(平安朝文化)
ドラゴン桜(受験勉強法)
「まんがで読破」シリーズ(世界史文化史)

作品によって教養と娯楽のバランスは異なりますが、様々な知識を身に付けてトップダウン処理を施すという観点からは漫画も十分に役立ちます。ただし、必ずボトムアップ処理訓練と並行して行うことが条件です。漫画を読むだけ、映画を見るだけで成績が上がると言っているわけではありません。

メリット二点目は、こちらがメインなのですが、原因が分かれば問題は半分以上解決しているということです。

結論として、「同じ勉強量を重ねても受験結果が異なるのはなぜか?」という疑問に対する回答は、一言でいえば「トップダウン処理の質が異なるから」ということになるでしょう。

もちろんこの回答でもまだ漠然とした部分は残ってしまいますが、「地頭が違う」「運次第」よりは遥かに建設的な回答だと考えます。ここまで辿り着けばある程度の解決策は見えてくるからです。そう、意識的にトップダウン処理用の知識をインプットすればいいのです。

以下、受験勉強に特化していくつかの書籍をオススメしておきますので時間のある方はぜひ4月のうちに取り組んでみてください。

【ボトムアップ処理インプット用教材】
漢字1800(河合塾)
ことばはちからダ(河合塾)
読解を深める現代文単語(桐原書店)

【トップダウン処理インプット用教材】
現代文キーワード読解(Z会)
現代文テーマ別頻出課題文集(駿台)
そうだったのか現代史(集英社)
サマる技術(星海社新書)

特にMARCHを越えて早慶まで目指すつもりの方には『サマる技術』がオススメです。受験指導の立場から言うと、MARCHまではボトムアップ処理を徹底することで届く可能性が高いですが、早慶(あるいはそれ以上)まで狙うには人より優れたトップダウン処理が全科目で必要不可欠になってきます。

また、ボトムアップ型の勉強は多くの塾・予備校で行われているように受け身でもできますが、トップダウン型の勉強は能動的に行わなければならないことも受験生が意識しておきたい大きな違いだと言えます。

長々と書きましたが、お役に立てれば幸いです。
それでは受験生の皆さん、頑張ってください。

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